
パソコンの初期化って、自分でやるのはちょっと怖いな……
データが残っていたらどうしよう……
そう感じる方は少なくありません。
しかも、データが完全に消えていなければ、個人情報や機密情報の漏洩につながる可能性もあります。
でも、Macの初期化は方法さえ正しく知っていれば、初心者でも安全にそしてスムーズに進めることができます。
さらに、初期化のやり方を覚えておけば、不具合が起きたときに購入時の「工場出荷状態」に戻すこともできます。

ワン仔はMacを使い始めてからずっと自分で初期化してるよ。
有料ソフトや業者に頼らなくてもできるから、余計な費用や手間もかからないんだ。
家族や友だちのMacも何台も手伝ってきたよ🐾
このお話では、初心者でも安心して取り組めるように、初期化の流れと注意点を画像付きでやさしく解説します。
「売却・譲渡の前に完全にデータを消したい」
「動作が不安定だから一度リセットしたい」
そんなときに役立つ準備や、目的に合わせた初期化のコツがわかります。
- 「すべてのコンテンツと設定を消去」という機能なら、安全かつ簡単に初期化できる
- 「すべてのコンテンツと設定を消去」と「FileVault」で、データ復元はほぼ不可能
初期化の基礎知識をとばして、すぐに初期化手順を読みたい方はこちらから。
初期化とは「工場出荷状態に戻す」こと

初期化とは、パソコンやスマートフォン・タブレットなどのデバイスを工場出荷時の状態に戻す操作のことです。これにより、ユーザーアカウント等の設定やアプリ・保存されたデータなどがすべて削除され、システムが初期状態にリセットされます。
- 不具合の解消
- 譲渡・売却・処分の準備
- システムのクリーンアップ など
さまざまな目的で行われる操作ですが、適切な準備や手順を踏まないと思わぬトラブルにつながることもあります。
初期化のメリットとデメリット
- メリット
- 使用していたデータやアカウント情報を削除できるため、譲渡や廃棄の際に個人情報漏洩のリスクを減らせる。
- システムがクリーンになり、不具合や動作の重さの原因が解消されることがある。
- 不要なファイルやアプリを一掃できるため、ストレージ容量の確保やパフォーマンス改善に役立つ。
- デメリット
- データがすべて消えるため、バックアップを取っておかなければ復元できない。
- 使用していたアプリやライセンスの再設定や環境の再構築、初期設定やOSアップデートなども必要になるため、インターネット接続や十分な作業時間の確保が求められる。
あらかじめバックアップを取り時間に余裕を持って行えば、不具合の解消や処分・譲渡のための初期化も安心して進められます。
初期化と完全消去の違い!データ復元のリスクは?


ねぇワン仔、パソコンって「初期化」すれば、保存してたデータは全部消えるの?

う〜ん、見た目には消えたように見えるけど……実はね、初期化しても、見えない形でデータが残ってることがあるんだ。
たとえばね、紙に鉛筆で文字を書いて、消しゴムで消したときのことを思い出してみて。
文字は見えなくなっていても、よく見るとうっすら跡が残っていたりするよね?
それが、初期化後に残る、見えない「データの跡」のイメージなんだ。
実際のパソコンやスマホでも、こうした見えないデータの跡は、専用の復元ソフトを使うと読み取れてしまうことがあります。
つまり、そのままパソコンを処分したり譲渡したりすると、個人情報が漏れてしまうリスクがあるのです。
安全に手放すためには、初期化だけでなく、「完全消去」や「暗号化」といったより強力な対策が必要です。
ここではまず、誰でも実践できる「完全消去」の基本を紹介します。
「完全消去」でデータ復元を防ぐ!
「完全消去」とは、見えないデータの跡を論理的または物理的に消し去り、復元できない状態にする方法です。
処分や譲渡の前に行っておけば、第三者に情報を抜き取られるリスクを大きく減らせます。
1. 上書き消去:たとえば、「紙の上に何度も文字を書いて消して、もとの文字の跡を分からなくしてしまう」イメージ
ディスク全体に無意味なデータ(0やランダム文字列)を複数回書き込むことで、元のデータを上書きして消す方法があります。macOSの「ディスクユーティリティ」や専用ツールで実行できます。
2. 物理破壊:たとえば、「文字の跡が残っている紙そのものを破り捨てる」イメージ
業務用パソコンや、機密情報が保存されたストレージを廃棄する場合におすすめの方法です。
ハンマーで破壊する、穴を開ける、専用の粉砕機で処理するなど、物理的に読み取り不能にします。
Macの初期化「すべてのコンテンツと設定を消去」

Macでは「すべてのコンテンツと設定を消去」という機能が導入され、より安全かつ手軽に初期化できるようになりました。
そしてこの機能を、Macに標準搭載された「暗号化」と組み合わせることで、初期化時に完全消去と同等の安全性を実現できるようになったのです。
さらにこの機能では、ユーザーのデータ・設定・アプリをまとめて消去できるだけでなく、従来のようにmacOSを再インストールする手間も不要になったのが大きな特徴です。
では、この機能が完全消去と同等の安全性を持つ理由について、ここで詳しく見ていきましょう。
「すべてのコンテンツと設定を消去」と「FileVault」で完全消去と同等の効果
最初に知っておきたいことですが、Macは「FileVault(ファイルヴォルト)」というmacOSに標準搭載されている機能で自動的にデータを「暗号化」してくれています。
暗号化されたデータは「暗号鍵」でしか解読できません。
「すべてのコンテンツと設定を消去」機能では、この暗号化されたデータだけでなく暗号を解読するための暗号鍵そのものも完全に削除されます。

たとえば、紙に暗号化された文字が書かれているとします。
この暗号文字は専用の暗号鍵を使わないと読めません(これが「FileVault」)
この暗号文字を消すときには、暗号鍵も一緒に処分してしまいます(これが「すべてのコンテンツと設定を消去」)
たとえ文字の跡が紙に残っていてもそれは読めない暗号であり、鍵がなければ解読できないというわけです。
つまり、実質的には完全消去と同じ効果がある、ということですね🐾
※ただし、FileVaultが無効になっている場合、このような安全性は得られません。上書き消去などの完全消去が必要です。
以下の手順でFileVaultが有効になっているか確認してみてください。

「すべてのコンテンツと設定を消去」の対応機種
「すべてのコンテンツと設定を消去」は、次の条件を満たすMacで利用できます。
- macOS12 Monterey 以降がインストールされていること
- Apple シリコン(M1/M2など)または T2 セキュリティチップを搭載していること
自分のMacが対応しているか不安な場合は、メニュー→「このMacについて」でOSバージョンやチップ名を確認しましょう。
「すべてのコンテンツと設定を消去」がない場合
対応していないMacや古いmacOS(Montereyより前)では、「すべてのコンテンツと設定を消去」は使えません。その場合は、復旧モードからディスクユーティリティを使用して起動ディスクを削除し、macOSを再インストールする必要があります。
この方法については、こちらのAppleのサポートページに詳しい手順が掲載されています。
Mac初期化前にやっておくべき4つの準備

Macの初期化を安全にスムーズに進めるためには、事前の準備がとても大切です。
ひとつひとつ確認していきましょう。
Mac初期化に必要な環境を整える
- 時間の確保
「すべてのコンテンツと設定を消去」による初期化自体は、10〜30分ほどで完了します。
ただし準備や初期化後の再設定も含めると、目的によっては数時間〜半日ほどかかることもあります。たとえば、データのバックアップやアプリの再インストールを行う場合は、まとまった作業時間が必要です。
しっかり作業したいときは、予定のない日に余裕をもって取り組むのがおすすめです。 - 電源の確保
初期化中に電源が切れると、初期化が中断されてトラブルになる恐れがあります。
Macは必ず電源に接続して作業しましょう。 - ネット環境の確保
サインアウトや初期化後のアクティベーションなどには、インターネット接続が必要です。
できるだけ安定したWi-Fi、または有線接続を用意しておきましょう。
「すべてのコンテンツと設定を消去」が使えるか確認
前述しましたが、「すべてのコンテンツと設定を消去」は次の条件を満たすMacで利用できます。
確認方法は次のお話で改めてお伝えします。
- macOS12 Monterey 以降がインストールされていること
- Apple シリコン(M1/M2など)または T2 セキュリティチップを搭載していること
この対応機種以外の場合はAppleのサポートページを参考にしてください。
その場合、事前準備としてアプリ「(Macを)探す」をオフにして、「アクティベーションロック」を解除することを忘れないようにしましょう!→理由はこちら
「すべてのコンテンツと設定を消去」が使用できれば、これらの準備は不要なので大丈夫です。
macOSとバッテリー状態のスクリーンショットを撮る
譲渡・売却する場合は、事前に「macOS等の情報」「バッテリーの状態情報」をスクショして残しておくと、相手への説明に役立ちます。
譲渡や売却以外の目的で初期化する場合はこの準備は不要です。



データのバックアップとアカウント情報の保存
初期化後はすべてのデータが消えるため、必要な情報は事前に保存しておきましょう。
- Time Machineでのシステムバックアップ
外付けHDDやSSDを接続して、Time MachineでMac全体のバックアップを取ります。

「すべてのコンテンツと設定を消去」の途中でTime Machineによるバックアップもできます。
- 必要なデータのコピー
iCloud Drive以外のフォルダやデスクトップのファイル、ダウンロードしたデータ、写真・動画などは、外部ストレージやクラウドへコピーしておきます。 - アカウント情報の保存
Appleアカウント、Wi-Fiのパスワード、アプリのログイン情報やサブスクリプション登録内容などを、パスワード管理アプリやメモに控えておきましょう。
初期化後もMacにデータを移行する場合、Macと同じAppleアカウントのデバイスがあるなら「iPhoneまたはiPadで設定」という機能が使えます。
Appleアカウントに連携された情報(Wi-Fi、Apple Pay、iCloud、パスワードなど)をMacにまとめて転送できます。くわしくはこちら
Mac初期化のやり方3ステップ

ここからは「すべてのコンテンツと設定を消去」を使った初期化の手順を、初心者の方でも迷わず進められるように、画面付きでわかりやすくご紹介します。
このお話の手順は、macOS Sequoia 15.5およびM2を搭載したMacを使用して解説したものです。
表示画面や流れは今後のアップデートで変更される場合がありますが、基本的な操作や考え方はほぼ共通です。
1.「消去アシスタント」を開く


2.「すべてのコンテンツと設定を消去」を実行する
ここで、Time Machineでバックアップを行うかどうかを確認される場合があります。必要ならバックアップを取りましょう。
このあとは「すべてのコンテンツと設定を消去」を実行し初期化していきます。


ここが最後の確認です。「すべてのコンテンツと設定を消去」を選択すると初期化が始まり、元には戻れません。

3.Macを再起動する
Macが再起動するので、電源を切らず充電した状態で待ちます。
Wi-Fi等のネットワークに再接続すると「Macをアクティベート」画面が表示されるので、「再起動」を選択します。

譲渡や売却が目的の場合は、ここで電源ボタンを長押ししてシャットダウンします。
自分で使用を続ける場合は、設定アシスタントの指示に従って初期設定を進めてください。
初期設定の詳しい手順は、こちらのお話で丁寧に解説しています。あわせてチェックしてみてくださいね。
初期化についてよくある質問
Q. 「すべてのコンテンツと設定を消去」が表示されないのはなぜ?
A. この機能はmacOS Monterey以降、Appleシリコン(M1/M2)やT2チップを搭載したMacで使える機能です。
古いmacOSやIntel Macでは表示されません。macOS復旧モードからディスクユーティリティを使う方法を試してみてください。Appleサポートを参考。
Q. Appleアカウントを解除しないと初期化できない?
A. はい、Macを初期化する前にAppleアカウントからサインアウトする必要があります。
これは「アクティベーションロック」という仕組みが関係しています。これが残っていると他の人がMacを再設定して使うことができず、譲渡・売却時のトラブルになるのです。このアクティベーションロックを解除するには、まず「(Macを)探す」機能をオフにする必要があります。
「すべてのコンテンツと設定を消去」を使えば、Appleアカウントのサインアウトと同時に「探す」「アクティベーションロック」の無効化もまとめて実行できるのでとても便利です。
Q. iCloudのデータはどうなる?
A. iCloudに保存されているデータ(写真・メモ・連絡先など)は、Macを初期化してもiCloudに残っています。別のデバイスでサインインすれば引き続き使えます。
Q. 初期化したらアプリも消えちゃう?
A. はい、App StoreやSafariなど標準搭載のアプリ以外は削除されます。使っていたアプリは、App Storeや製品サイトから再インストールが必要です。ライセンスやログイン情報も初期化前に控えておきましょう。
Q. 初期化って元に戻せるの?
A. 一度初期化すると元の状態には戻せません。必要なデータは、初期化前に必ずバックアップを取っておきましょう。Time Machineなどが便利です。
その他に不明な点があればAppleサポートで検索してみてください。
まとめ:安全にMacを手放すために、正しい初期化をしよう
Macを初期化する理由は人それぞれですが、譲渡・売却などで他の人に渡す場合は「すべてのコンテンツと設定を消去」を使うのがもっとも安全で確実な方法です。
またMacのデータは暗号化されているため「すべてのコンテンツと設定を消去」によって暗号鍵も削除され、初期化後のデータ復元リスクも限りなく低く抑えられます。
古いMacや対象外のモデルの場合でも、macOS復旧やディスクユーティリティを使えば同様の初期化が可能です。必要に応じてAppleサポートも活用しましょう。

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