
子どもにスマホを持たせても大丈夫かな……
トラブルにならないように見守ってあげたいけれど
警察庁の統計では、SNSを通じて犯罪被害に遭う子どもの数は高止まりしており、特に小学生の被害が増加傾向にあります。インターネットを通じたトラブルは、実際に起きている大きな課題です。
一方で、子どもたちがインターネットを安全に活用できれば、学びや可能性を広げる大きなチャンスにもなります。
大切なのは「守りながら触れさせる」こと。そのために役立つのが ペアレンタルコントロール です。

ペアレンタルコントロールの代表的なものにはこの2つがあります。
- Googleの「ファミリーリンク」「子ども用アカウント」
- Appleの「ファミリー共有」「スクリーンタイム」
お子様のスマホがAndroidだったり、iPhoneでもYouTubeなどのGoogleサービスを管理したい方は、ファミリーリンクが最適です。
今回はGoogle「ファミリーリンク」「子ども用アカウント」の設定・活用事例から解除の注意点までを、ワン仔の実際の画面つきで解説します🐾
親子のデバイス組み合わせによる管理方法について
親子のデバイスの組み合わせによって適切なペアレンタルコントロールのツールが異なります。
保護者の スマホ | お子様の スマホ | 最適な管理方法 |
---|---|---|
Android | Android | Googleファミリーリンクが最適! |
iPhone | Android | Googleファミリーリンク(親がiPhoneでも管理可能) |
iPhone | iPhone | Appleファミリー共有・スクリーンタイムが最適! 補助的にGoogleファミリーリンク |
Android | iPhone | Appleスクリーンタイムを子供のスマホで直接管理 補助的にGoogleファミリーリンク |
- Google「ファミリーリンク」「子ども用アカウント」で子どものネット環境を守る
- 子どものデバイスがiPhoneの場合、Apple「ファミリー共有」「スクリーンタイム」と併用
- 「子ども用アカウント」作成時の注意点は2つ
- ユーザー名(Gmailアドレス)は後から変更できない
- パスワードを子どもに伝えるかは家庭で話し合う
- 子どもが13歳になった時の対応は3つ
- アカウントを更新せず、管理機能を継続
- アカウントを更新しつつ、管理機能を継続
- ファミリーリンクを解除し、管理機能を完全に停止する
児童被害の実態と対策やペアレンタルコントロールについて詳しく知りたい方は、こちらのお話をお読み下さい。
Googleファミリーリンクとは?子どものネット利用を見守る保護者向け無料アプリ

Googleファミリーリンクとは、保護者が子どものスマートフォンやタブレットなどの利用状況を管理・制限できるGoogle公式の無料アプリ・サービスです。
これを使うことで、以下のような管理が可能になります。
- 「子ども用Googleアカウント」の作成・管理
- デバイスの使用時間を制限
- アプリのインストールと利用時間の管理
- WEBサイトの利用制限(年齢制限)
- 位置情報の共有
- デバイスの利用状況の把握
「子ども用Googleアカウント」とは?
Googleのポリシーでは12歳以下の子どもがGoogleアカウントを利用する場合、保護者の管理下での使用が義務付けられています。そのための専用のアカウントが「子ども用Googleアカウント」です。
そして、子ども用Googleアカウントを作成・管理するには、ファミリーリンクの利用が必須となります。
子どものスマホがiPhoneの場合は?Googleサービスのみファミリーリンクで管理
Googleファミリーリンクは、iPhoneでもGoogleサービス(Chrome・YouTubeなど)の管理は可能です。一方で、Apple独自のサービスを制限できず、デバイスの利用時間管理や位置情報共有もできません。
そこで、GoogleファミリーリンクとAppleファミリー共有などを併用することで、iPhone利用の子どもでも、Googleサービスを最大限利用しながら安全な環境を整えることができます。
- 基本的にAppleの「ファミリー共有」「スクリーンタイム」で管理
- 13歳以上の子どもがYouTube・Gmail・Chrome等のGoogleサービスをよく使う(細かく制限したい)場合は、Googleの「ファミリーリンク」を活用
- 12歳以下の子どもがGoogleサービスを使用する場合は、Googleの「ファミリーリンク」「子ども用Googleアカウント」が必須
機能 | Android | iPhone |
---|---|---|
Googleアプリ(Chrome・YouTubeなど)の管理 | ✅ | ✅ |
有害サイトのブロック(GoogleChrome内) | ✅ | ✅ |
スマホの利用時間制限 | ✅ | ❌ |
位置情報の共有 | ✅ | ❌ |
Appleのアプリやサービスの管理(Safari・App Storeなど) | ❌ | ❌ |
Googleファミリーリンク設定の4ステップ

まず、子どもの年齢によってGoogleアカウントの種類が異なることを知っておきましょう。
- 12歳以下:ファミリーリンクを利用して「子ども用Googleアカウント」を作成・管理
- 13歳以上:事前に「個人用Googleアカウント」を作成した上で、ファミリーリンクで管理
「個人用Googleアカウント」作成方法はこちらのお話を参考にしてください
1. 準備するもの
- 保護者の「個人用アカウント」
- 子どもが13歳以上の場合は、子どもの「個人用アカウント」
※お子様が12歳以下の場合はこのまま読み進めて下さい - 保護者用スマートフォンまたはパソコン
- 子ども用デバイス(スマートフォン、タブレットなど)
2. 保護者用デバイスで行う手順
1.「ファミリーリンク」アプリをインストール
Androidの場合はGoogle Playから、iPhoneの場合はApp Storeからインストール可能です。パソコンから行う場合はこちらからログインしてください。

2.お子様用アカウントを作成 〜お子様の情報入力〜

- 12歳以下なら「いいえ」
- 13歳以上なら「はい」→画面内容に沿ってお子様のデバイスを操作


- Googleのサービス上に表示されます
- 本名でなくても可能です
- 後から変更も可能です

- 性別は「男性・女性」以外に「指定しない」の選択もあります
3.お子様用アカウントを作成 〜Gmailアドレス・パスワードを入力〜

- Googleアカウントのメールアドレスは、一度作成すると変更できません。

- 推測されにくい強力なパスワードにする
- 簡単すぎる言葉や他の人が知っている言葉を使わないようにする
子ども用Googleアカウントのパスワードをお子様が知るべきかどうかは、年齢や家庭でのルールに応じて検討しましょう。ファミリーリンクの設定変更には保護者の認証が必要なので安心ですが、パスワードの管理やルール作りを徹底することが大切です。

- 保護者デバイスの確認をします

- スマホに送られてきたコードを入力します
4.お子様用アカウントを作成 〜保護者の同意と本人確認〜



- パスキーやパスワードで保護者認証
- 年齢確認のため、クレジットカード情報の入力が求められる場合があります


これで子どものGoogleアカウントが作成できました。
3. 子ども用デバイスで行う手順
1.以下のいずれかで、子ども用デバイスにGoogleアカウントを設定
- 子どものデバイスがAndroidの場合
- 子ども用デバイスの初期設定時にアカウント設定
- 既存のデバイスにアカウントを追加する場合は、「設定」→「Google」→「別のアカウントを追加」
- 子どものデバイスがiPhoneの場合
- Googleアプリ(例:Gmail, YouTubeなど)を起動→「アカウント追加」


2.保護者の確認



このまま続けてファミリーリンクの設定に進みましょう。
4. ファミリーリンクの管理設定
1.Googleの設定 〜GooglePlay・Google Chrome・Google検索〜


- お子様の年齢等に合わせて設定して下さい
- Google ChromeとGoogle検索フィルタも同様に設定します
2.ファミリーリンクの設定 〜管理許可とアプリ管理〜




3.ファミリーリンクの設定 〜Youtube〜



お子様の年齢等に合わせて設定して下さい

下記を参考にして下さい
✅ メリット
- 興味や好奇心を広げられる
- 子どもが自分で好きな動画を検索できるため、新しいことを学ぶ機会が増える
- 親が設定しなくてもコンテンツを見つけられる
- 毎回親が動画を探してあげる手間が省ける
- 教育系・趣味の動画を自由に探せる
- 知育アニメや英語学習、工作などの動画を自分で発見できる
❌ デメリット
- 不適切な動画に遭遇する可能性がある
- YouTube Kidsはフィルタリングされているが、完全ではなく、不適切な動画が紛れ込むことがある
- 視聴時間が長くなりやすい
- 自由に検索できると、次々と動画を見続けてしまう可能性がある
- 親の管理が難しくなる
- どんな動画を見ているか把握しづらくなるため、定期的なチェックが必要
「オン」にする場合の対策
- 定期的に視聴履歴をチェック
- タイマー機能で視聴時間を制限
- 不適切な動画があれば「ブロック」する
✅ メリット
- 安全性が高まる
- YouTube Kidsの厳選された動画だけが表示されるため、不適切な動画を見るリスクが低い
- 視聴時間をコントロールしやすい
- 親が選んだ動画しか見られないため、ダラダラ見続けることを防げる
- 親が安心できる
- 検索により不適切な動画と遭遇する可能性がないので、心配が減る
❌ デメリット
- 子どもの自由な学びが制限される
- 興味のあることを自分で調べる機会が減ってしまう
- 動画の選択肢が少ない
- YouTube Kidsのおすすめだけになるので、子どもが見たい動画がない場合もある
- 親が管理する手間が増える
- 「これ見たい!」と子どもに頼まれるたびに、親が動画を選ぶ必要がある


4.ファミリーリンクの設定 〜制限時間の設定〜



5.ファミリーリンクの設定 〜現在地共有の設定〜



ここまでお疲れ様でした!これで完了です。保護者へメールが届いているはずなので確認して下さい。
Googleファミリーリンクの活用

ファミリーリンクのメイン画面は「ハイライト」「管理」「位置情報」の三つに分かれています。

ファミリーリンク活用事例Q&A
ファミリーリンクの活用事例をお伝えします。参考にして下さい。

Q:子どもがスマホでゲームばかりしています。
スマホで勉強する分にはいいのだけれど……

A:アプリごとの利用制限で、ゲームやSNSだけを制限し、学習アプリなどは無制限にすることも可能です


「常に許可」について
- デバイスの1日の利用時間上限になっても「常に許可」されたアプリは使用可能
- 休息時間中は「常に許可」されたアプリでも使用不可

Q:アプリのダウンロード制限を緩和したいのですが、
課金や有料アプリの管理は続けたいです

A:『有料コンテンツのみ保護者の承認が必要』とする設定ができます
- 管理画面「コンテンツの制限」選択
- 「GooglePlay」選択
- 「購入とダウンロードの承認」選択
- 「有料コンテンツのみ」選択
せっかくなので年齢制限等のフィルタも見直してあげると良いかもしれませんね
フィルタの変更も「コンテンツの制限」から行えます

Q:位置情報はどこまで詳しくわかるの?

A:学校や塾などの施設位置まで情報共有できます
例として

合流するのに便利です!

Q:スマホが見当たらない……
家にあるのはわかるけど、マナーモードだから電話してもらっても着信音がならないし……

A.大丈夫!保護者のファミリーリンクから通知音を鳴らすことができるよ
- 管理画面「デバイス」選択
- お子様のデバイスを選択
- 「通知音を鳴らす」選択
これでマナーモードでも通知音が鳴ります

Q:塾や遊びに行った帰りに、送迎の連絡を忘れることが多いのだけれど……

A.塾や最寄り駅などの「到着」や「出発」の通知を設定しておくと便利ですよ
- 位置情報画面「ファミリーの場所」選択
- 住所や施設名などを入力
- 「通知を受け取るタイミング」の到着や出発をオン
- 保存
位置情報共有していない場合
- 管理画面「アカウント設定」選択
- 「位置情報の設定」選択
- 「お子様の現在地を表示する」ON
※注意点:お子様のデバイスが電源ON・インターネット接続中であることが必須です

Q:子どもとの関係が最近思わしくないです。
子どもが「監視されている」と感じているようなのですが、どうすれば良いですか?

A.これがペアレンタルコントロール最大の課題です!
重要なのは「制限をかけること」ではなく、「親子で納得できるルールを作り、信頼関係を築くこと」 です!
- ルールを決める際に、子どもと話し合いながら設定する
- 「なぜこの設定が必要なのか」を説明する
- 子どもの意見も取り入れて納得できる形にする
- 「監視」ではなく、「スマホを安全に使うためのサポート」であることを伝える
- 利用状況の把握は子どもの興味や関心を知る手段として活用する
- 位置情報共有は送迎時や災害時にのみ活用する
- 保護者も過干渉にならないように「サポート」であることを忘れない
- 成長に合わせてルールを見直す
- 進学時などに制限を緩和し、子どもに権限を移譲することで、責任感や判断力を育むことができる
- 親子の信頼関係を深めるきっかけとして活用する
- 定期的にルール見直しの機会を作り、子どもの意見や関心事を共有する
- 日頃からネットリテラシーなどについて話し合うことで、相談しやすい環境づくりをする
こちらのお話も参考にしてみてください
13歳になった時の対応と、ファミリーリンクの解除について


子どもが13歳になると、Googleからアカウントの更新に関する通知メールが、家庭にそれぞれ送られます。このタイミングで、保護者による管理を続けるか、解除するかを選ぶ必要があります。
選択肢は3通りです。
選択肢①:アカウントを更新せず、管理機能を継続
→ 「これまで通り管理を続けたい」「まだ制限をかけたい」場合におすすめ
- 何も変更しなければ、今まで通りファミリーリンクの管理機能が継続される
- 保護者が特別な手続きをする必要はない
※あとでファミリーリンクを解除して管理機能を停止するためには、改めてアカウントの更新が必要
選択肢②:アカウントを更新しつつ、管理機能を継続
→ 「子どもの自主性を尊重したいが、管理も続けたい」場合におすすめ
- 子どものアカウントを更新することで、より多くのGoogleサービスが利用可能になる
- 設定の一部を子ども自身で変更可能になる
- 保護者の管理機能(フィルタ設定等)は継続される
- あとで管理機能を停止することも可能
選択肢③:ファミリーリンクを解除し、管理機能を完全に停止する
→ 「もう子どもに制限をかけず、自立したネット利用を任せたい」場合におすすめ
- アカウントの管理機能を停止し、子どもが独立したGoogleアカウントを使用できる
- ファミリーリンクの制限(使用時間、フィルタなど)がすべて解除される
- ファミリーグループ(YouTube Premiumファミリープラン等)は継続可能
なお、子どもが中学や高校を卒業するなどのタイミングで、ファミリーリンクを解除しようとした際に、「管理機能の停止ができない」と困るケースが多く報告されています。
その原因や具体的な解除手順については、こちらのお話で詳しく解説しています。
まとめ:子どもの安全なネット利用のために、家庭でできること
子どものスマホやパソコンに制限をかけるのは、正直大変ですよね。
アプリやサイトの承認、利用時間の見直し、そして「友だちは使ってるのに!」という子どもの声……。
それでも、安心してインターネットを使える環境を整えることは、子どもの未来を広げる大切な一歩です。
ペアレンタルコントロールを活用すれば、利用時間やアプリを無理なく管理でき、家庭に合ったルールをつくることができます。年齢や成長に合わせて少しずつ見直していくことも大切です。
ただし「完全な安全策」はありません。万が一トラブルに遭った時は、落ち着いて適切に対応しましょう。
詳しい対処法については、こちらのお話で解説しています。

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