子どものスマホ、どうやって管理していますか?
スマホの利用時間、アプリの使用制限、位置情報の確認……子どもを守るためにペアレンタルコントロールを設定している親子もいるでしょう。
しかし、子どもが成長するにつれて、こんな悩みが出てきていませんか?

保護者の思い
- 子どもを守るために管理しているのに、うまくできていない気がする
- 最近、親子の会話が減ってぎくしゃくしてきた
子どもの気持ち
- 友達はもっと自由なのに、なんで自分だけ?
- スマホを自由に使いたいけど、言い出すのがこわい……
- こっそり抜け道をさがしてもいいかな……

子どものネット環境は、「子どもを守りたい」という保護者の思いと、「もっと自由に使いたい」という子どもの気持ち、その両方が関係しています。
どちらかが大切なわけではなく、どちらも大切にしたい本心ですよね。
今回は、親子それぞれの立場から、「信頼を深めながらスマホを使うためのヒント」を一緒に考えていきます。
- 保護者のペアレンタルコントロールの行きすぎが、心理的虐待になることもある
- 子どもの成長に合わせて、話し合いながらルール見直すことが重要
- 子どもがペアレンタルコントロールの抜け道を使うと、重大なトラブルの原因となる
- 抜け道を探すのではなく、保護者と話し合って信頼を作ることが重要
- 話し合うときは「ちゃんと考えてる」ということを伝える
- どうすればいいか分からないときに相談できる場所
- 児童相談所「虐待対応ダイヤル」
- こども家庭庁「親子のための相談LINE」
このお話が、「子どもの気持ち」と「保護者の思い」をつなぐきっかけになれば嬉しいです。
保護者向け:ペアレンタルコントロールによる児童虐待の可能性と見直し方

GoogleファミリーリンクやAppleファミリー共有などのペアレンタルコントロールは、子どもの安全を守るために便利な仕組みです。
しかし、管理や監視が行きすぎると、子どもに強いストレスや不安を与えたり、友だちを失ったりすることがあります。場合によっては心のケガである心理的虐待と見なされる恐れもあるのです。
日本の法律では、児童に著しい心理的外傷を与える言動を「心理的虐待」と定義し、禁止しています 〜「児童虐待の防止等に関する法律」第二条第四項〜
心理的虐待につながる可能性のある「やりすぎた管理」
子どものネット環境を厳しく管理する保護者も、子どもの安全を願っての行動だと思います。
でも、行きすぎた管理は親子の信頼関係を壊してしまうことがあります。
ここでは心理的虐待につながるかもしれないやりすぎた管理の例を、子どもの目線で見ていきましょう。
子どもにとっては、親の「守るつもり」の行動がこんなふうに感じられてしまうことがあります。
- 監視のしすぎ
- 「どこに行ったの?」「だれといたの?」と何回も聞かれて、疲れてしまう
- 自分のいる場所をいつも見られていて落ち着かない
- 利用制限が厳しすぎる
- 勉強に必要なときでも、スマホを使わせてもらえない
- 友だちと話すアプリも使えなくて、「ひとりぼっち」と感じてしまう
- 怖い言い方や一方的な操作
- 「言うことを聞かないならスマホなし!」と脅される
- 勝手にアプリを消されても理由を説明してもらえない
- 恥ずかしい思いをさせられる
- SNSのやりとりや検索したことを、人前で注意される
- なんでも見られているようで、安心できない
- ルールがころころ変わる
- 「昨日はOKでも今日はダメ」と保護者の気分で変わる
- どうしたらいいのか分からなくなる
保護者が「そんなつもりはなかった」と思っていても、子どもはこうした不安を抱えてしまうのです。
子どもの感じ方を理解することが、親子の信頼関係を守る大切な一歩になります。
ペアレンタルコントロールの適切な使い方
スマホの管理や制限は「守るために必要なこと」と考えていても、気づかないうちに親子の関係に壁を作ってしまうことがあります。
でも大丈夫!「子どもを守ること」と「信じ合うこと」のバランスを見直せば、もっと自然で安心できる関係を築けます。
- 年齢に応じた適切な制限
子どもの成長に合わせて、「自由」と「制限」のバランスを見直していきましょう。 - 子どもと話し合いながら決める
一方的なルールではなく、「なぜその制限があるのか」を説明し、子どもの意見にも耳を傾けてください。 - プライバシーを尊重する
すべてを監視するのではなく、自主性を尊重して、そっと見守る姿勢も大切です。 - ルールは一貫性を持って決める
気分で変わるルールは子どもを混乱させます。理由がある制限なら、親子で納得しやすくなります。
こちらのお話も参考にしてみてください。
子どもを思う気持ちが強いほど、管理が厳しくなってしまうのは自然なことです。
だからこそ「信頼を深める工夫」を取り入れることで、親子の絆はもっと強くなります。
ただ、どんな設定でもペアレンタルコントロールは完璧ではありません。
次は、気づかないうちに起こりやすいペアレンタルコントロールの抜け道と、子どもの心の葛藤を見ていきましょう。
ペアレンタルコントロールの抜け道と対処法
保護者がきちんと設定していても、子どもが意図せず抜け道を見つけてしまうことがあります。
それは悪気があってではなく、「もう少し自由に使いたい」という自然な気持ちの表れかもしれません。
または、過度な管理から距離を取りたいのに言い出せない──そんな心の葛藤から起きる場合もあります。
ただし、抜け道を放置するとトラブルの原因にもなります。
抜け道の詳細はお伝えできませんが、まずは、次のようなサインがないか確認してみましょう。
- 知らないアプリがインストールされていませんか?
- 特定のアプリの使用時間がいつもより長くなっていませんか?
- 子どものデバイスの日時設定は正しく合っていますか?
- パスワードを教えてしまったり、簡単に推測できるものになっていませんか?
もし、いくつか心当たりがある場合は、子どもを厳しく問い詰めるのではなく、事実を確認して理由を聞くことから始めてみましょう。
もしかしたら、学校や友達との関わりなど、どうしても必要に迫られていたのかもしれません。

抜け道を見つけた=悪い子、じゃないんです。
子どもも「もっと自由に使いたい」と感じているだけ。
「どうしてそうしたの?」と穏やかに話を聞くことで、親子の信頼を深めるチャンスになります。
話し合うことで原因を共有できれば、抜け道を使われ続けるよりずっと良い結果になります。
子ども向け:ペアレンタルコントロールの抜け道ではなく、スマホの本当の自由を学ぼう

成長するにつれて、「スマホをもう少し自由に使いたいな」と感じるのは自然なことです。
その一方で、保護者に見守られていることを分かっているから、「言い出したら怒られそうで怖い」と感じてしまう子もいるでしょう。
だからこそ、こっそりペアレンタルコントロールの抜け道を探すよりも、ちゃんと話す勇気を持つことが、本当の意味での自由につながります。
ここでは、「抜け道を使う前に知ってほしいこと」と「どうやって保護者に伝えたらいいか」を、ワン仔と一緒に考えていきましょう。
「親にバレずにアプリを入れる方法……」抜け道の前に知ってほしいこと

もっとスマホを自由に使わせてほしい!友達はもっといろんなアプリ使ってるし……
ネットで「親にバレずにアプリを入れる方法」とか調べたら分かるかな……?

友達の話題についていけないと、「仲間外れにされるんじゃないかな……」って不安になることもあるよね。
でもね、抜け道を使ってこっそりやるのは、本当に危ないことなんだ!
ペアレンタルコントロールは「制限して守る」だけじゃなく、もしものときに保護者がすぐ助けに入れるようにするための仕組みでもあるの。
もし保護者に内緒のままトラブルに巻き込まれたら……ちゃんと自分だけで解決できるかな?
- トラブルが起きたとき、自分だけで解決できる?
- ネットで知り合った相手が危ない人だったら、気づける?
- アプリやゲームでお金の問題が起きたとき、どうやって対応する?
- 保護者に助けてもらわないで、それを自分の責任で全部背負える?

スマホを自由に使うってことは、自分で判断して行動し、責任を持つってことなんだ。
大人と同じ自由を求めるなら、同じだけの責任も必要になるよ。
だからね、ただ「自由に使いたい」じゃなくて、「どうすれば信頼して使わせてもらえるか」を学んでいこう🐾
スマホの自由を話し合うために〜保護者に伝えるときの4つのコツ〜

相談するときどんなふうに伝えればいいの?
どうせ「子どもだからダメ!」って言われそうで、ちょっと嫌だな……

うん、その気持ちもすごくわかるよ。
だからこそ、ただ「自由にして」ってお願いするよりも、「ちゃんと考えてる」って伝えることが大切なんだ。
- 理由をはっきり伝える:ただ「自由に使いたい」ではなく、どうして必要なのかを説明する
- 部活の連絡がLINEで来るから、通知がすぐ見られないと困る
- 友達との話に混ざれないから、みんなが使っているアプリを使いたい
- 使い方のルールを自分から提案する:保護者は「使いすぎるかも…危ないかも…」と心配してる
- 夜8時以降は使わない、食事中や話し中も使わない
- SNSは○○だけ使う、他のアプリは入れない
- なにかあったら必ず相談する:保護者を「信じて頼る」ことで安心してもらう
- 困ったこと・嫌なこと・分からないことがあったらちゃんと話す
- 保護者から「こういうときは言ってね」と言われた約束は守る
- お試し期間:まずは少しの間だけやらせてもらう
- まずは2週間だけ使わせてもらう
- お試し期間後は、今後どうするかをあらためて保護者と相談する

たとえばこんなふうに伝えてみたらどうかな?
「最近友達とスマホの話しに入れないんだよ。だから、みんなが使っているアプリ(〇〇)を使わせてもらえないかな?
夜8時になったら使わないし、ご飯のときもスマホは触らないようにするよ。
1日30分、2週間だけでもいいから試させてほしいんだ。
もし何かあったら、ちゃんと相談するから。」
ダメだったら、条件を少し下げてもう一度話してみよう。
大事なのは、ちゃんと話し合うこと!
自由って、勝ち取るものじゃなくて、信頼の上に築くものだからね🐾
こちらのお話も参考にしてみてください。

……でも、それでも、話すのが怖いときはどうすればいいの?
「また怒られるかも」って思ったら、胸がぎゅってなっちゃうよ。

まずは落ち着いて、大丈夫だからね。
「うち、ちょっと変かも」「つらいのに言えない……」と思ったら、ひとりで抱え込まないで。
次のお話では、安心して相談できる場所を紹介するよ。
「助けて」と言える!相談できる場所まとめ

ここでは、困ったときに安心して相談できる場所を紹介します。
「虐待かも」「親子関係がつらい」「どう接していいか分からない」そんなときも、ためらわずに連絡してみてください。

どんなに頑張っても、「つらくて逃げたい」「どうしていいか分からない」って思うときがあるよね。
そんなときは、ひとりで頑張らなくても大丈夫だよ。
あなたの話をちゃんと聞いて、一緒に頑張ってくれる大人がいます。
だから、勇気を出して「助けて」って言ってほしいんだ。
保護者の方へ
子育てに悩んだとき、「こんなことで相談していいのかな」と迷うこともあると思います。
でも、子どもと向き合おうとしている保護者こそ、支えを求めていいんです。
専門家への相談も、子どもを守り親子の信頼を築くための大切な行動のひとつです。
相談できるところ | 相談方法 | 相談できる時間 | 相談先 |
---|---|---|---|
児童相談所 虐待対応ダイヤル | 電話 ※お金はかからないよ | 24時間365日 いつでも相談できるよ | 📞 189 (いちはやく) ▶こちら |
こども家庭庁 親子のための相談LINE | LINEチャット | 住んでいる場所で違うよ ※夜や休日に相談できなかったりするよ | ▶ こちら |
どれも無料で、あなたの名前を言わなくても大丈夫です。電話で話すのがこわいときは、LINEでも相談できます。
子どもも、保護者も、ひとりで悩まないでください。親子の信頼が崩れてしまう前に、勇気を出して声を届けるところから始めてみましょう。
まとめ:親子で話し合うことから信頼が生まれ、スマホの自由が広がる
スマホの使い方やルールは、子どもの成長や家庭の状況によって変わります。
そのなかで、子どもの「もっと自由に使いたい」という気持ちも、保護者の「安全に見守りたい」という思いも、どちらも大切にしたい本心です。
だからこそ、お互いの気持ちや不安を言葉にして、信頼を築きながらルールをつくっていくことが大事なんです。
話し合うことから、親子の信頼も、スマホの自由も、きっと少しずつ広がっていきます。

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